問題の背景には、デジタル技術の進化による予約・検索の圧倒的な容易さがある。各自治体が導入しているオンライン蔵書検索システム「WebOPAC」に加え、全国の図書館蔵書を一括検索できる民間サービス「カーリル」などの普及により、スマホ一つで誰でも簡単に近くの図書館へ本を取り寄せられる時代になった。
かつては図書館の窓口に直接足を運び、紙のリクエスト用紙に記入して司書と相談しながら申し込むのが一般的だった。この物理的なハードルが、利用者に「本当に必要な本か」を再考させる自制作用を果たしていたのだ。しかし、ワンタップで完了するUX(ユーザー体験)の進化が、逆に利用者の心理的ハードルを極限まで下げ、「取り寄せにかかるコストと労力」に対する想像力を麻痺させてしまった感は否めない。