適当とは本来ふさわしい意味?いい加減への変化とビジネス敬語の全貌

適当とは本来ふさわしい意味?いい加減への変化とビジネス敬語の全貌

適当とは本来ふさわしい意味?いい加減への変化とビジネス敬語の全貌とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

辞書を引くと、適当の本来の意味は「ある状態・目的・要求などにぴったり当てはまっていること、ふさわしいこと」と定義されています。「適当な人材を配置する」「適当な分量を加える」といった使い方がこれに該当します。

語源を紐解くと、適当 由来 歴史は中国の古典漢語に遡ります。「適」には「かなう、あてはまる、行く」という意味があり、「当」には「あたる、道理にかなう」という意味が含まれます。つまり、漢字の成り立ちそのものが「道理や基準にぴったり合致する」という極めて理知的な構造を持っているのです。

日本においてこの語が公的な概念として広く普及したのは明治期でした。福澤諭吉をはじめとする知識人たちが、西洋の近代概念である「appropriate」「suitable」「fit」を日本語に翻訳する際、訳語として白羽の矢を立てたのが「適当」でした。公文書や学術論文、法律文書において「正当でふさわしい状態」を指す格調高い言葉として活用されていたのです。

では、なぜこれが適当 いい加減 語源と呼ばれるようなネガティブな意味を帯びるようになったのでしょうか。言語史の研究者や国語辞典の編纂記録によると、意味の転換点(セマンティック・シフト)は昭和初期から高度経済成長期にかけて生じました。

職場の現場や日常会話で「状況に合わせて適当にやっておいてくれ(=適宜、各自の判断で最善を尽くせ)」という指示が頻繁に使われるようになると、受け手側は「厳密なマニュアルやルールに従わなくてもよい」「大体の勘でアバウトに処理すればよい」と解釈するケースが増加しました。その結果、「基準に合わせる」という本来の意味から「基準を緩める」「手抜きをする」「その場しのぎでやり過ごす」という俗用へとニュアンスが変容していったのです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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