冬の間、グランドは一面の銀世界に包まれる。秋田県横手市。外でのフリーバッティングどころか、まともなキャッチボールすら叶わない環境が数か月続く。しかし、彼らはそれを悲劇とは捉えなかった。
校内の限られた室内練習場に持ち込まれたのは、弾道測定器TrackManと高解像度のカメラシステムだった。限られたスペースだからこそ、一球ごとの回転数や変化量、打出角を徹底的に数値化。感覚に頼らない「科学的なフォーム調整」を冬場に突き詰めた。結果として、投手の球質は劇的に改善し、打者は球種ごとの最適なスイング軌道を体に染み込ませた。豪雪という制約が、むしろ最先端のデータ野球を加速させる触媒となったのだ。