インターネット上のレシピまとめでは、「生肉をたれに数時間漬け込んでから焼くと劇的に美味しくなる」という記述が散見されますが、これは半分正解で半分は誤解を含んでいます。
赤身の多い硬い肉質やすじ肉であれば、すりおろしりんごの酵素で組織をほぐすメリットが上回ります。しかし、サシ(脂)の入った良質な和牛カルビやロースを長時間漬け込んでしまうと、たれの塩分による浸透圧で肉の貴重な肉汁(ドリップ)が外へ流出し、かえってパサついた焼き上がりになってしまいます。
プロの現場における鉄則は、「良い肉ほど、焼く直前に揉み込む(直前揉み)」または「素焼きにしてからつけだれで食す」ことです。脂の融点が低い上質肉には、焼く5分前にさっとたれを絡めるだけで十分。手作りの鮮烈なたれの香りと、脂本来の甘味が最高のハーモニーを奏でます。
【プロの結論】自家製たれをおすすめできる人・市販品を選ぶべき人の条件
家庭における料理スタイルは多様です。すべての人に手作りを盲信するのではなく、自身のライフスタイルに合致しているかを見極める必要があります。
【手作りを強くおすすめできる人】
- 家族の健康を考え、化学調味料や保存料を極力避けたい人
- 安売りの豚こま肉や牛小間切れを、専門店レベルの柔らかさに化けさせたい人
- 自分好みの甘さ控えめ、または激辛ブレンドを自由に追求したい人
- 市販のボトルを買っても毎回数回使っただけで余らせてしまう一人暮らしや少人数世帯
【市販品を選んだほうが無難な人】
- たれの計量や野菜をすりおろす手間すら惜しいほど多忙な人
- 開封後も数カ月間にわたり、冷蔵庫のドアポケットに常備しておきたい人
- 特定の大手メーカーの味(ジャンやエバラなど)に強い愛着があり、その味以外を受け付けない人