本作のメガホンをとった内藤瑛亮監督は、凄惨ないじめや少年犯罪をテーマにした重厚な作品づくりで定評があります。映画『ミスミソウ』のキャスティングにおいて、主人公・野咲春花の役柄を射止めたのは、当時すでにCMやドラマの脇役で頭角を現していたものの、長編映画の主演経験がなかった山田杏奈さんでした。
オーディションにおいて監督の目を最も惹きつけたのは、彼女の持つ「静謐さの中に宿る強い意志と圧倒的な目力」でした。過疎化が進む閉鎖的な田舎町の中学校へ転校してきた春花は、クラスメイトから壮絶ないじめを受け、最終的に家族を焼き殺されるという極限の絶望に突き落とされます。
純粋な少女が狂気と復讐に染まっていく難役に対し、山田杏奈さんはセリフの少なさを補って余りある表情の機微と佇まいで応えました。単なる被害者や怪物ではなく、傷つきながらも生きるために立ち上がる少女の切なさを宿した演技は、業界関係者から「新星の覚醒」と絶賛される契機となったのです。