彼女の女優としての評価を決定づけたのが、2000年代前半に巡り合った傑作群だ。宮藤官九郎脚本の『木更津キャッツアイ』で見せた軽妙かつエキセントリックなコミカルさは、彼女の新たな才能を開花させた。シリアスからコメディまで、振り幅の広さを強烈に印象づけた一作である。
一方、今なお名作として語り継がれる『すいか』では、現代社会に生きる女性の生きづらさと温もりを繊細に体現。日常の些細な機微を丁寧に掬い上げる質の高いヒューマンドラマにおいて、彼女の醸し出す空気感は不可欠なピースであった。癖のある役どころであっても、観客に親近感を抱かせる不思議な魅力がそこにはある。