1980年10月5日、日本武道館。絶頂期にあった彼女は、21歳という若さで自らの歌手人生に終止符を打った。ラストコンサートの最後に、白いマイクをステージの中央にそっと置き、静かに舞台裏へと姿を消したシーンは、日本のエンタメ史における最も美しく鮮烈なクライマックスとして記憶されている。
結婚を機に家庭へ入ることを選び、その後は一切の芸能活動を行わないという強い意志を貫いた。過熱するメディアの取材攻撃に対しても一貫して沈黙を守り続け、安易な復帰劇を演じることなく主婦としての人生を全うする姿は、引退後のスター像としても類を見ない高潔さを漂わせている。