没後に刊行され大きな話題を呼んだ書籍『安倍晋三 回顧録』は、彼が背負った血脈の重圧と、権力の頂点で下された決断の舞台裏を克明に捉えている。インタビューの中で語られる各国首脳との駆け引きや党内抗争の記録からは、単なる二世・三世議員というレッテルを超えた、政治家個人の強い執念が伝わってくる。
同書において安倍は、祖父・岸信介に対する深い敬意を隠さない。安保改定で倒閣へと追い込まれた祖父の悲願を、自らの手で安全保障関連法の成立や集団的自衛権の行使容認という形で結実させようとしたプロセスが生々しく語られる。家系図に刻まれた先達の足跡が、彼の政治的選択における羅針盤となっていたことが伺える貴重な証言となっている。