2017年6月30日、野外特設会場で開催された「嗣永桃子ラストライブ ♥ありがとう おともち♥」。詰めかけた超満員のファンの前で、彼女は小指を折りたたむラストパフォーマンスを披露し、マイクを静かに置いてステージを後にした。その引き際の美しさは、今なおアイドルの「終止符」として語り継がれている。
多くのタレントが引退後にSNSを開設したり、数年後に復帰を遂げたりするなか、彼女は一切の未練を見せず芸能界から完全に身を引いた。引き抜きや復帰の打診が皆無だったわけではない。だが、彼女にとって「アイドル・ももち」という作品はあの瞬間に完璧に完成しており、蛇足を付け加える気は毛頭なかったのだ。引き際の潔さにこそ、彼女が貫き通した「プロアイドル」としての美学が凝縮されている。