館内2階に店を構える「展望レストランぶえん」に入ると、まず視界に飛び込んでくるのは枕崎港のパノラマと、天候に恵まれれば遠くに望める立神岩の雄大な姿だ。ここで訪れる者がまず注文を迫られるのが、多彩な枕崎お魚センター ランチのラインナップである。券売機や卓上メニューを前に目移りする旅行者が多いが、最初に押さえるべき絶対的エースはブランド魚「枕崎ぶえん鰹」を用いた逸品だ。
「ぶえん(無塩)」とは、古くから塩漬けにせずとも食べられるほど新鮮であることを意味する薩摩地方の方言に由来する。一本釣りされたカツオを船上で生きたまま瞬時に血抜きし、マイナス50度のブライン凍結庫へ直行させることで、一切の生臭さを排除した鮮烈なモッチリ食感を実現している。現場の取材で口にした瞬間、一般的なスーパーに並ぶカツオ特有の鉄臭さが皆無であることに誰もが驚かされる。
数ある枕崎お魚センター メニューの中でも、編集部が自信を持って推奨するのが「枕崎ぶえん鰹 刺身・タタキ食べ比べ膳」と、鮮魚が豪快に盛られた「枕崎港 海鮮丼」だ。透き通るような赤身の弾力と、炭火の香ばしさをまとった皮目のコントラストは、まさに港町直結のレストランでしか味わえないクオリティを誇る。さらに、出汁文化の街らしく、添えられる味噌汁や茶節(ちゃぶし:麦味噌と鰹節にお茶を注ぐ伝統食)の芳醇な旨味が、料理全体の輪郭を鮮やかに際立たせている。