伊藤英明『海猿』再放送・配信停止の深層|原作者との確執と現在

伊藤英明『海猿』再放送・配信停止の深層|原作者との確執と現在

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『海猿』が現在あらゆる配信プラットフォームや地上波から姿を消している最大の理由は、原作者である漫画家・佐藤秀峰氏と制作元であるフジテレビとの間で結ばれていた実写化に関する権利契約が完全に終了しているためです。ネット上では「出演者の不祥事」や「海上保安庁の意向」といった憶測が飛び交うこともありますが、これらは完全な誤解です。すべての発端は、テレビ局側がクリエイターに対して重ねた度重なる不義理にありました。

両者の関係悪化が決定打となったのは、2012年に発生した2つの重大なトラブルです。フジテレビの報道番組スタッフがアポなしで佐藤氏の仕事場に押しかけて強引な取材を試みたこと、そして映画関連書籍が原作者との正式な契約書面を交わすことなく勝手に出版されていた事実が発覚しました。佐藤氏はTwitter(現X)上で怒りを表明し、フジテレビとの今後の新規取引を一切拒絶することを宣言します。

その後、当時のフジテレビ幹部による謝罪などを経て一時的な沈静化が見られたものの、根本的な信頼関係が修復されることはありませんでした。そして2017年10月、佐藤秀峰氏は実写版『海猿』の全ての契約が満了し、更新を行わないことを正式に発表しました。日本の著作権法上、原作者の許諾が得られない限り、過去に製作された映画やドラマであってもテレビ再放送、動画配信サービスへの供給、パッケージの再プレスといった二次的利用は一切不可能となります。巨額の製作費を投じたフジテレビ自社でさえ、作品を倉庫の奥底に封印せざるを得なくなったのが動かしがたい法的な現実です。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。