しっぽの動きを解読する上で、左右の向きと同じく決定的な指標となるのが「基準位置からの高低差」です。犬のしっぽの位置と心理には直接的な相関関係が存在します。
垂直に近い角度まで犬がしっぽを高く上げる意味は、自己の優位性の誇示、あるいは極度の覚醒状態です。毛を逆立て、高い位置でピンと張り詰めた状態で小刻みに震わせている動きこそが、犬のしっぽ威嚇サインの真相です。これは「これ以上近づけば攻撃する」という最終警告であり、決して喜んでいるわけではありません。
反対に、後肢の間に巻き込むようにして犬がしっぽを股に挟む理由は、極度の恐怖や完全な服従、自己防衛です。肛門周辺にある臭腺(肛門嚢)を物理的に隠すことで、自身の匂い(アイデンティティ)を消し去り、相手からの攻撃を回避しようとする本能的行動です。これは動物行動学でいう犬のカーミングシグナル(自身を落ち着かせ、相手の敵意を削ぐための沈静化サイン)の一種であり、強い精神的負荷がかかっている明白な証拠といえます。