ピアスの痛みを大きく左右するもう一つの決定打が、使用する「器具」です。市販のピアッサーを用いるか、プロ仕様の医療用ニードルを用いるかによって、組織へのダメージと術後の痛覚刺激は天と地ほど変わります。
ピアッサーの仕組みと痛みのメカニズム
ピアッサーはバネの力を使って、スタッドピアス(ファーストピアス)そのものの先端で皮膚を力任せに押し広げて貫通させます。ピアスの先端は針のように鋭利ではなく、やや丸みを帯びているため、医学的には「皮膚や軟骨を切り開く」のではなく「強い衝撃で組織を押し潰す(組織挫滅)」ことになります。
そのため、開けた瞬間はバネの衝撃で一瞬麻痺するものの、組織の破壊範囲が広いため、後からズキズキとした強い腫れや鈍痛が長く続きやすいという欠点があります。特に軟骨部へのピアッサー使用は、軟骨膜の断裂や骨折のような損傷を引き起こし、激しい痛みの原因となります。
ニードルの切れ味と創傷治癒の早さ
対照的に、中空の医療用メスと同じ構造を持つ「ピアッシングニードル」は、極めて鋭利な刃物です。皮膚や軟骨の細胞を押し潰すことなく、最小限の断面でスパッと綺麗にスライスして通り抜けます。
摩擦抵抗が極めて少ないため、適切な角度と速度で刺入された場合、貫通時の痛みは驚くほど軽微です。さらに細胞組織の損傷が最小限で済むため、術後の腫れや炎症反応が穏やかで、痛みが引くスピードもピアッサーに比べて圧倒的に早いという特徴があります。