料亭や名店と同じクオリティを目指すなら、乾物から抽出する本格出汁に勝るものはありません。明石焼きの生地は卵と小麦粉、じん粉(浮き粉)で構成されており、油分をほとんど含みません。そのため、だしの抽出温度や時間管理がダイレクトに仕上がりを左右します。
鉄則1:昆布は60℃でじっくり抽出し沸騰直前に引き上げる
水1リットルに対して昆布10gを浸し、弱火でじっくりと加熱します。グルタミン酸が最も効率よく抽出されるのは60℃前後です。沸騰させてしまうと昆布特有のぬめりや雑味(アルギン酸)が溶け出し、繊細な玉子焼きの風味を覆い隠してしまうため、細かな気泡が立ち始めた段階で確実に取り出します。
鉄則2:厚削りではなく「花かつお」を短時間で濾す
昆布を取り出した後、一度沸騰させた火を止め、鰹節(花かつお)20gを一気に投入します。沈むまで1分ほど待ち、万能こし器やキッチンペーパーで静かに濾します。この際、鰹節を強く絞らないことが透明な黄金だしを作る絶対条件です。絞るとイノシン酸とともにえぐみや渋みが出てしまいます。
鉄則3:塩分は「1.0%未満」の上品な薄味に仕立てる
一般的なうどんつゆの塩分濃度が約1.2〜1.4%であるのに対し、明石焼きのだしは約0.7〜0.9%の低塩分に設定するのが理想です。生地をたっぷりと浸して飲むように食べる料理であるため、濃すぎる味付けは舌を疲れさせます。味付けには濃口醤油ではなく、色がつかない「薄口醤油」と微量のみりん、天然塩を用います。