なぜカリウムを多く含む飲み物を摂取すると、むくみが引き、血圧管理に好影響をもたらすのでしょうか。その根底には、人体の細胞内外で休むことなく稼働している「ナトリウム・カリウムポンプ(Na+/K+-ATPase)」の働きが存在します。
細胞外液(血液や組織間液)にナトリウムが多くなりすぎると、生体は浸透圧を一定に保とうとして周囲から水分を抱え込みます。これが血管内であれば循環血液量の増大による血圧上昇を引き起こし、細胞間に溢れ出せば「むくみ」として知覚されます。ここで十分なカリウムを血中に送り込むと、腎臓の遠位尿細管においてナトリウムの再吸収が抑制され、余分な塩分が水分とともに尿中へと強制排出される仕組みです。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」において、1日のカリウム摂取目安量(目標量)は成人男性で3,000mg以上、成人女性で2,600mg以上と策定されています。さらに、WHO(世界保健機関)が高血圧予防と心血管疾患リスク軽減のために提示する推奨値は3,510mg以上に設定されています。国民健康・栄養調査によれば、一般的な日本人の平均摂取量は2,200〜2,400mg前後にとどまり、日常的に約500〜800mgが不足しています。この「あと一歩足りない分」を、200mlパックのトマトジュースや豆乳1本で補填する戦略は、高血圧対策と塩分排出を同時に達成するための極めて論理的なアプローチと言えます。