救命処置を行うにあたり、「肋骨を折ってしまったら損害賠償を請求されるのではないか」「女性の服を緩めてセクハラと訴えられないか」という不安を抱く人は少なくありません。欧米では緊急時に救助者を保護する「善きサマリア人の法」が広く制定されていますが、日本には同一名称の単独法規は存在しません。
しかし、日本の法制度下においても救助者は手厚く保護されています。民法第698条(緊急事務管理)および刑法第37条(緊急避難)の規定により、差し迫った生命の危機を救うための善意の行為であれば、重大な悪意や故意がない限り、民事上の損害賠償責任や刑事上の罪に問われることはありません。
胸骨圧迫によって肋骨にヒビが入ることや、AED装着のために衣服を切る行為は、命を救うための不可避かつ正当な処置とみなされます。法的なリスクを恐れて処置をためらう必要は一切ありません。