多くのリスナーが『幸福論』に抱くイメージは、1999年にリリースされたミリオンセラー・ファーストアルバム『無罪モラトリアム』に収録された『幸福論(悦楽編)』によって決定づけられています。オリジナルシングル版とアルバム版(悦楽編)の間には、単なる別ミックスに留まらない決定的な差異が存在します。
以下は、両バージョンの音楽的・構造的差異をまとめた客観データ比較です。
この幸福論 悦楽編 違いにおいて特筆すべきは、アルバム『無罪モラトリアム』の世界観を強固にするための必然的な再構築だったという点です。1枚のアルバムとしての一体感を求めた彼女は、デビュー曲をただ再録するのではなく、パンキッシュなエネルギーとブラスセクションを融合させた「悦楽編」へと進化させました。
また、幸福論 椎名林檎 MV ロケ地の変遷も両者の対比を象徴しています。オリジナル版のミュージックビデオが日常的な風景の中でナチュラルな少女像を映し出していたのに対し、「悦楽編」の映像では広大な屋外の芝生(千葉県内のロケーション等)で、マーチングバンドやエキストラを従えながら拡声器を片手に歌い上げる、極めてコンセプチュアルな映像美へと昇華されています。