2020年代前半に席巻した極端なシンプル志向(ノームコア)の反動として、ファッション界では「自己表現とニュアンスの付加」を求める動きが加速しています。繊研新聞などの業界リサーチデータによると、2026年春夏シーズンにおけるデザインカットソーの展示会受注率は前年比約128%を記録しており、その牽引役となっているのが進化したグラデーション表現です。
かつての平成レトロやサーフカルチャーに見られた直線的で派手な多色グラデーションとは異なり、今季の主流は「空や夕景、鉱物、水面の揺らぎ」などを想起させるオーガニックなカラーグラデーションです。染色の境目が滑らかに溶け合うディップダイ加工や、インクジェットプリント技術の進化によって、まるでアートピースのような繊細な階調が実現されています。
また、タイダイ染めが持つフェス感やヒッピーテイストに対し、縦方向や横方向に美しいグラデーションを描くTシャツは、ストリート系からモード、クリーンなカジュアルまで幅広いテイストに馴染みやすい汎用性の高さが支持される大きな要因となっています。