この現象の原点は、2000年代中盤から2010年代にかけて全盛期を誇った2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の生活系掲示板にあります。「旦那に理不尽にいじめられている」「ママ友グループから突然仲間外れにされた」といった深刻な相談が投稿され、当初は多くの住民が親身になってアドバイスを送り、報告者を擁護するのがお決まりの流れでした。
風向きが変わるのは、相談者が状況を詳しく説明しようとレスを重ねる瞬間です。「相手の言動ばかりを激しく非難するが、自分の行動の動機が抜けている」「相手の怒り方が明らかに報告者の重大な過失を示唆している」など、話の辻褄が合わなくなっていきます。住民からの鋭い質問に対して論点をすり替えたり、逆ギレしたりする過程で「この修羅場スレ報告者こそが異常なのでは?」と発覚する瞬間は、ネット上で「報告者がキチ神回」と称され、5ch修羅場名作まとめサイトなどで語り継がれる一大ジャンルとなりました。
当時のネットユーザーを惹きつけたのは、善意の被害者の仮面が剥がれ落ち、生々しい悪意や異常性が露呈するミステリー小説のような劇的展開でした。まとめサイトを通じてアーカイブ化されたエピソード群は、人間の心理の闇を映すカルチャーとして現在も読み継がれています。