静岡浅間神社が他の古社と一線を画す最大の要素は、徳川将軍家との深淵な歴史的結びつきにある。幼少期に今川氏の人質として駿府で過ごした竹千代(後の家康公)は、この地で元服の儀を執り行い、「徳川家康」としての歩みをスタートさせた。幕府開設後も歴代将軍の崇敬は絶えず、寛永年間の大造営をはじめ、幕府の威信をかけた社殿の造営が繰り返されてきた。
とりわけ神部神社・浅間神社の二社同殿となる大拝殿は、高さ25メートルを誇る木造2階建て構造であり、神社建築としては日本最大級の規模を誇る。二重の折上格天井(おりあげごうてんじょう)に描かれた狩野派の絵画や、欄間に彫られた瑞獣の彫刻群は、権力者の威光だけでなく、当時の最高の美意識が集約された芸術品そのものだ。歴史の息吹をそのまま残す建造物のディテールは、訪れる者を圧倒してやまない。