作中およびファンの間で「最強」の座に関して議論の余地がないのが悲鳴嶼行冥です。その根拠は単なる腕力ランキング1位というフィジカルにとどまりません。上弦の壱である黒死牟をして「極限まで練り上げられた肉体の完成形」「これほどの剣士を拝むのは三百年ぶり」と感嘆せしめた描写こそが最大の裏付けです。
悲鳴嶼は失明というハンデを卓越した空間把握能力へ昇華させ、鎖斧と鉄球という変則兵器を呼吸と連動させて超重量の打撃を繰り出します。さらに黒死牟との交戦中に即座に「透き通る世界」へ開眼し、最終戦では自力で日輪刀を赫刀化させるなど、戦闘IQとセンスの双方が次元を超越していました。
読者の議論が最も白熱するのは、この悲鳴嶼に続く「2位〜4位」のトップ層争いです。ここには不死川実弥、冨岡義勇、そして伊黒小芭内の3名が位置します。
まず不死川実弥と冨岡義勇の比較では、柱稽古での木刀による手合わせが互角に描かれており、基本技量において顕著な差はありません。しかし、実戦における総合力では実弥が一歩リードしていると評価せざるを得ません。実弥は鬼を泥酔させる「稀血(まれち)」の持ち主であり、内臓が零れ落ちるほどの重傷を負っても筋肉を緊張させて戦闘を続行する常軌を逸したタフネスを誇ります。黒死牟の苛烈な連撃に対し、単独で刃を交え続けた時間の長さは実弥の卓越した戦闘勘を証明しています。
一方、冨岡義勇は自ら編み出した「拾壱ノ型 凪」による絶対的なディフェンス性能が光ります。上弦の参・猗窩座の乱打を寸前で防ぎ切る防御技術は隊内随一ですが、自ら状況を打開する能動的な突破力という観点では実弥の獰猛な攻撃性に軍配が上がります。
そして最終局面で一気に評価を押し上げたのが伊黒小芭内です。伊黒は基礎腕力こそ下位ですが、無惨戦で見せた集中力は圧巻でした。万全の状態で無惨と対峙できたアドバンテージはあるものの、自らの万力のような握力で単独での「赫刀化」を達成し、一時的ながら「透き通る世界」をも感知しました。無惨の広範囲攻撃の軌道を見切る太刀筋の精密さは、実弥や義勇にまったく引けを取らないトップクラスの技量です。