警戒すべき感染症はSFTSだけではない。日本国内で広く生息するフタトゲチマダニやヤマトマダニなどが媒介する、日本紅斑熱やライム病の脅威も年々拡大している。
日本紅斑熱は、リケッチアと呼ばれる病原体によって引き起こされる。マダニに刺されてから2日から8日ほどの潜伏期を経て、突然の高熱とともに、手足の先から全身へと広がる米粒大から小豆大の鮮紅色斑が現れるのが特徴だ。刺し口には特徴的な「黒いかさぶた」が形成される。治療が遅れれば播種性血管内凝固症候群(DIC)などを併発し、命を脅かす。
一方、ライム病のサインとして見逃せないのが遊走性紅斑と呼ばれる特異な発疹だ。刺された部分を中心に、数日から数週間かけて紅斑が輪を描くように遠心状に拡大し、時に直径数十センチに達する。まるで射撃の的(ブルズアイ)のような環状の皮疹を見逃し、慢性化させると、数ヶ月から数年後に重篤な関節炎や顔面神経麻痺、心筋炎などを発症するリスクを抱え続けることになる。