ネット上の考察やSNSで今なお散見される最大の誤解が、「第6部の結末で宇宙が一巡した結果、生まれたのが第7部『スティール・ボール・ラン』や第8部『ジョジョリオン』の世界である」という言説です。しかし、これは明確な誤認であることが公式見解および作中の論理から証明されています。
プッチ神父は、一巡が完全に完了する手前(ケープ・カナベラルに到達する直前)でエンポリオに倒されました。一巡を完結させる創造主(神父)を失った宇宙は、神父の望んだ決定論の世界を維持できず、「プッチ神父という存在そのものが最初からいなかった歴史」へと再構築されました。
その証拠が、エンポリオが最後に辿り着いたガソリンスタンドの光景です。そこには徐倫によく似た「アイリン」、アナスイに酷似した「アナキス」、そしてエルメェスやウェザーの面影を残す仲間たちが、刑務所の囚人ではなく、互いに愛し合い幸福な日常を生きる姿がありました。名前に「ジョジョ(JOJO)」の呪縛を背負う必要がなくなったアイリンの存在は、ジョースター家が100年以上にわたって戦い続けたDIOの因縁からの完全な解放を意味しています。
荒木飛呂彦氏が画集や各種インタビューで言及している通り、第7部以降の舞台は一巡後のアイリンたちの世界ではなく、構造的に独立した「完全に別のパラレルワールド(隣り合う別次元の宇宙)」です。第6部のラストは、バッドエンドでもリセットによる逃げでもなく、命を繋いだ者たちが勝ち取った「最も崇高なハッピーエンド」として理解するのが物語の本質に合致しています。