拝殿へ進み出たら、まず賽銭箱の前に立ち、小深呼吸を置いて姿勢を正します。鈴が設置されている場合は、まず力強く一度鳴らしてその清らかな音色で邪気を払います。
全国の多くの神社で共通する基本作法が二礼二拍手一礼の作法です。その正確な身体操作は次の通りです。
・二礼:神前に向かって背筋を伸ばし、腰を約90度に曲げて深いお辞儀を2回繰り返す。
・二拍手:胸の高さで両手を合わせ、右手を少し(指関節の半分程度)手前に引き、肩幅程度に開いて2回「パン、パン」と打つ。その後、指先を揃えて静かに祈りを捧げる。
・一礼:最後に改めて深く一礼し、静かに後退する。
なぜ拍手の際に右手を少し引くのかについて、神道神学では「左を陽(霊・神)、右を陰(体・人)とし、神の前に一歩身を引く謙譲の意を表すため」と解釈されています。音を立てたあとに指先を揃えるのは、神霊と一体化(合一)することを意味します。
一方で、日本には古儀として二礼四拍手一礼の神社が存在します。代表格が出雲大社(島根県)、宇佐神宮(大分県)、そして弥彦神社(新潟県)です。出雲大社において通常は四拍手、例祭時には八拍手を行う理由について、同社社務所の伝承では「四季の豊かな実りへの感謝」や「無限の広がりを意味する八という神聖数への到達」と説明されています。参拝先の由緒を確認し、その神社の伝統に合わせた拍手数を実践することが真の作法と言えます。
また、願い事の伝え方と作法にも明確な優先順位があります。いきなり「昇進させてください」「宝くじを当ててください」と自己の欲望を突きつけるのは本末転倒です。まずは日々平穏に暮らせていることへの「感謝」、次に神職が祝詞(のりと)で奏上するように「自身の住所・氏名」、最後に「自らの決意と誓い」を述べるのが神道の正統な祈りのあり方です。