ベイマックスはピクサー作品ではない?制作スタジオの違いと原作の全真相

ベイマックスはピクサー作品ではない?制作スタジオの違いと原作の全真相

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スタジオの帰属問題以上に一般の観客を驚かせるのが、ベイマックスの原作がマーベル・コミックであるという事実です。映画の英語タイトルは『Big Hero 6(ビッグ・ヒーロー・シックス)』。これは1998年にマーベル・コミックの『Sunfire & Project Echelon』で初登場し、後にミニシリーズ化された同名のアメコミチームが直接のベースとなっています。

2009年にウォルト・ディズニー・カンパニーがマーベル・エンターテインメントを約40億ドルで買収した際、ディズニーのアニメーション監督ドン・ホール氏がマーベルのデータベースを探索し、ほとんど知名度のなかったこのマイナー作品を発掘したことがプロジェクトの端緒でした。

原作コミックとディズニー映画版の間には、驚くべき改変が加えられています。

原作のチームは、日本政府が結成した超人スーパーヒーロー部隊という極めてミリタリー色の強い設定でした。リーダーであるヒロ・タカチホが自作したロボット「ベイマックス」は、丸くて柔らかい風船のような癒やし系ではなく、ドラゴンのような怪物形態に変形するメカニックな人造戦闘兵器(シンセゾイド)として描かれていたのです。

ディズニー制作陣は、この過激なアメコミ設定をファミリー層に向けた感動ドラマへと大胆に昇華させました。制作にあたり、ドン・ホール監督らはカーネギーメロン大学のロボット研究所を直接取材。そこで研究されていた「医療・介護用ソフトロボティクス(ビニール製の柔らかいアーム)」にインスピレーションを受け、金属の装甲ではなく、抱きしめたくなるような空気注入型の医療用コンパニオンロボットという画期的なキャラクター造形が生み出されたのです。

さらに特筆すべきは、物語の舞台となる架空都市サンフランソウキョウの設定です。サンフランシスコの象徴である坂道やケーブルカー、ゴールデンゲートブリッジに、日本の鳥居、電柱、看板、桜の風景を融合させたこの近未来ハイブリッド都市は、単なる舞台装置を超え、日米の文化が高度に調和した唯一無二の世界観を構築することに成功しました。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。