両クラブのCLにおけるライバル関係は、2010年代後半以降の欧州サッカーシーンで最もドラマチックな軌跡を描いてきました。UEFA公式記録によると、過去の直接対決におけるパリSG対バイエルン対戦成績は、バイエルン側が通算7勝6敗とわずかにリード。引き分けが一度もないという極端なスタッツは、両者が常にリスクを冒してゴールを奪い合ってきた証左です。
決定的な分水嶺となったのは、新型コロナウイルスの影響により変則日程で行われた2019-20シーズンのCL決勝でした。リスボンの無観客スタジアムで行われたあの一戦、パリSGの下部組織出身であるキングスレイ・コマンが放った魂のヘディングシュートが決勝点となり、バイエルンが1-0で欧州王者に輝きました。当時の記者会見でパリの選手たちが流した涙と、手記で明かされた「あと一歩で届かなかったビッグイヤーへの絶望」は、クラブのアイデンティティに深い爪痕を残しています。
翌2020-21シーズンの準々決勝では、雪降る敵地アリアンツ・アレーナでパリSGが劇的なアウェイゴール差勝利を収めてリベンジを果たしたものの、2022-23シーズンの決勝トーナメント1回戦ではバイエルンが2戦合計3-0の完全シャットアウト。近年の大一番では、プレッシャー下における勝負強さの差が如実にスコアへ反映される傾向が続いています。