ネット上の簡易的な英語解説ブログやQ&Aコミュニティでは、「good timesはスラングだからビジネスで使ってはいけない」「ネイティブは現在進行形の楽しい出来事には絶対に使わない」といった極端な言説が散見されます。しかし、これらの断定的な解説には少なからず誤解が含まれています。
第1の誤解は、「フォーマルな場での全面禁止論」です。確かにアイロニーとしての「Good times.」を役員会議やクライアントへの謝罪の場で使うのは致命的ですが、経済ニュースや企業決算の報告において「during the good times of the previous fiscal year(前年度の好況期において)」のように、経済的繁栄や安定期を指すフォーマルな経済用語として「good times」を用いることは極めて一般的です。
第2の誤解は、「Good old timesとGood old daysの完全同一視」です。どちらも「古き良き時代」と訳されますが、言語コーパスの頻度データを精査すると、英語圏のネイティブが自然に口にするノスタルジー表現の90%以上は「good old days」を選択しています。「good old times」も文法的に間違いではありませんが、やや文学的・説明的な響きを帯びるため、日常会話で口語として使うとわずかな違和感(非ネイティブ特有のぎこちなさ)を与えることがあります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
言語とは、相手との関係性の距離感(心理的バウンダリー)を測るセンサーでもあります。「good times」の持つ多面性を踏まえ、積極的に取り入れるべき場面と、慎重に控えるべき境界線を以下に明示します。
【積極的に使いこなすべき人・場面】
- すでに気心の知れた同僚や友人との間で、軽い失敗やアクシデントを笑い飛ばして空気を和ませたい時。
- 旅行やイベントの思い出写真をSNSに投稿する際、こなれた一言キャプションとしてスマートに添えたい時。
- 英語圏特有のサーカズムを理解し、現地のカルチャーに一歩深く踏み込んだ「大人の雑談力」を磨きたい学習者。
【使用を慎重に避けるべき人・場面】
- 初対面のビジネス相手や、まだ十分な信頼関係が構築できていない取引先とのコミュニケーション。
- 重大な過失、金銭トラブル、誰かが身体的・精神的に傷ついているシリアスな事故現場(不謹慎・冷酷と受け取られるリスク大)。
- 自身の声のトーンや表情のコントロールに自信がなく、皮肉が本気のアグレッショントーンに聞こえてしまう懸念がある場合。