過去に東京都八王子市や神奈川県などで発生したアパート屋外鉄骨階段崩落事故は、賃貸オーナーや建物管理者に強い衝撃を与えました。いずれの事故も、踊り場や階段の接合部、あるいは踏板の付け根に溜まった雨水によって鉄骨内部が腐食し、ある日突然、人の重みで抜け落ちるという痛ましい結末を辿っています。鉄は酸化すると強度が激減し、元の厚みの数倍に膨張する「層状剥離(爆裂)」を起こしてボロボロに崩れていきます。
階段のサビは、一朝一夕に崩落へ至るわけではありません。日頃の目視点検で以下の4段階の危険サインを早期に見極めることが、事故防止の絶対条件です。
【危険度レベル1:初期劣化(チョーキング・白サビ)】
手すりやササラ桁(側面の板)を触ると手に白い粉がつく状態です。塗膜の紫外線耐性が切れて防水性が失われ始めていますが、鉄骨自体の酸化は軽微で、通常の塗り替えで十分リカバリーできます。
【危険度レベル2:点サビ・赤サビの発生】
塗膜がひび割れ、ポツポツと赤褐色のサビが浮き出てきます。放置すると急速に周囲へ広がるため、この段階でサビ補修とケレン塗装を行うのが最もコストパフォーマンスに優れます。
【危険度レベル3:塗膜の膨れ・層状サビ(危険)】
塗装の下でサビが成長し、塗膜が水膨れのように浮き上がったり、ミルフィーユ状に鉄が剥がれたりしている状態です。鉄骨の肉厚が薄くなっており、部分的な溶接補強や踏板交換が必要となります。
【危険度レベル4:穴あき・グラつき・異音(即時使用中止レベル)】
踏板の裏やササラ桁との接合部に穴が開き、歩行時に「ギシギシ」「パキッ」と異音や揺れが生じる状態です。いつ抜け落ちてもおかしくない極めて危険な状態であり、直ちにバリケード等で封鎖した上で緊急補強工事を行わなければなりません。