スーパーゼネコン5社は、売上高1兆円〜2兆円を超える超巨大企業群ですが、その成り立ち、企業風土、得意とする事業領域は驚くほど異なります。それぞれのDNAを知ることで、鹿島大林清水大成竹中の違いが極めて明確に見えてきます。
業界の盟主として君臨する鹿島建設の最大の強みは、「土木の鹿島」と称される圧倒的なインフラ施工力と、業界屈指の技術開発力です。ダムやトンネル、リニア中央新幹線などの国家プロジェクトで強大な存在感を示し、早くから自動化施工(A4CSEL)などのDXを推進してきました。さらに、米国の現地法人買収などを通じたグローバル展開が実を結び、5社中で最もバランスの取れた収益基盤を誇ります。弱点を挙げるならば、極めて手堅く官僚的な組織風土ゆえに、抜本的な新規事業への意思決定に慎重な側面がある点です。
業界トップの連結売上高を競う大林組は、「技術の大林」として知られ、東京スカイツリーの施工実績や宇宙エレベーター構想に代表される先進的なビジョンが特徴です。関西発祥ならではの柔軟な営業力と、六本木ヒルズをはじめとする大規模市街地再開発での実績は他を圧倒します。近年ではスマートビルや再生可能エネルギー事業(地熱発電など)への投資を加速させています。一方で、建築比率が比較的高いため、民間設備投資の波や資材高騰の煽りを受けやすい体質を内包しています。
創業220年を超える歴史を持つ清水建設は、「建築の清水」として民間オフィスビルや医療・福祉施設、社寺建築に圧倒的な実績を誇ります。誠実で実直な企業文化を持ち、顧客からの信頼は絶大です。洋上風力発電向けの自航式SEP船を巨額投資で建造するなど、グリーンエネルギー分野の先駆者でもあります。しかし、直近数年は首都圏の大規模再開発における資材価格急騰の直撃を受け、採算悪化に最も苦しんだ企業でもありました。現在は選別受注の徹底により、強固な利益体質への再構築を進めています。
5社の中で唯一、創業家が経営に関与しない完全な非同族企業が大成建設です。「地図に残る仕事。」のキャッチコピー通り、国立競技場や羽田空港滑走路などのメガプロジェクトを数多く手掛けています。非同族ゆえの実力主義とアグレッシブな営業力、現場の突破力が強みですが、過去には市街地再開発現場での施工トラブルが表面化するなど、品質管理とガバナンスの再強化が最大の経営課題となっていました。現在では現場チェック体制を刷新し、信頼回復に向けた堅実路線を歩んでいます。
最後に、完全な独自路線を歩むのが竹中工務店です。土木工事をほぼ手掛けず「建築専業」を貫き、自社の建造物を「作品」と呼びます。東京ドームやあべのハルカスなど、デザイン性と技術が高度に融合した建築で国内外から極めて高い評価を得ています。「棟梁精神」を重んじる設計施工一貫方式が最大の武器ですが、土木インフラの公共投資による恩恵を受けにくい点が構造的な弱みといえます。