日本の体操界が世界に誇るレジェンドたちの動きを観察すると、この初歩的な連続技がいかにすべての土台であるかがよく分かる。五輪個人総合2連覇を果たした内村航平のゆかは、ロンダートの1手目から最後の着地に至るまで、定規で引いたような幾何学的正確さを持っていた。身体の軸が一切ブレず、反発力を1ミリも無駄にしない職人芸は、まさに力学の結晶だった。
一方で「ひねり王子」として世界を席巻した白井健三は、ロンダートの進入速度と蹴り出しの鋭さで新たな地平を切り拓いた。日本体操協会や国際体操連盟が公認するスプリング入りの最新フロアは反発性能が極めて高いが、その弾性を扱いきるには卓越した体幹の締めが欠かせない。彼らが魅せる異次元の高難度技も、突き詰めればロンダートで生み出したエネルギーを漏らさず後方へ伝える技術の延長線上に存在している。