有明アリーナの公式サイトや各種イベントの案内告知には、必ずといってよいほど「来場者用の駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください」という厳格な文言が明記されています。敷地内には約130台分の地下駐車枠や荷捌き場が存在するものの、これらは関係車両、中継車、出演者バス、ならびに事前登録された車いす利用者専用のスペースとして完全に分離運用されており、一般来場者の進入は警備員によって厳重に遮断されています。
これほどの大規模施設でありながら一般枠がゼロに設定されている背景には、東京都港湾局および開発事業者による都市交通負荷の抑制と住環境保全協定が存在します。有明アリーナが立地する江東区有明・東雲・豊洲一帯は、近年の再開発により数多くの超高層タワーマンションが林立する国内有数の高密度住宅エリアへと変貌を遂げました。仮に1万5,000人規模のイベントで1,000台規模の一般駐車場を開放した場合、幹線道路である晴海通りや首都高速湾岸線の有明出口に壊滅的なボトルネックが発生し、救急・消防などの緊急車両通行や地域住民の日常生活が完全に麻痺してしまいます。
江東区の交通まちづくり指針および東京都の環境影響評価(アセスメント)資料においても、「大規模集客施設におけるTDM(交通需要マネジメント)の徹底」が義務付けられており、施設側があえて一般駐車場を排除することで公共交通機関への転換(モーダルシフト)を強制的に促す設計が採られたのが事の真相です。