「顔も本名も知らない誰かと、ネットの片隅でだけ繋がる関係」。Discordをはじめとする通話アプリが日常化した現代において、25時、ナイトコードで。(通称・ニーゴ)の成り立ちは極めてリアルだ。お互いの素性を知らないまま、毎夜25時に集まり楽曲制作を続けるサークルという設定は、デジタルネイティブ世代のコミュニケーション様式そのものを映し出している。
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が育んできた初音ミクという文化装置は、彼女たちの物語の中で「誰もいないセカイ」という心象風景の器へと姿を変えた。無機質な廃墟のようなその空間で佇む初音ミクは、従来のポップなアイドル像とは一線を画す。迷い込んだ少女たちの痛みをただ静かに見つめ、ときに過酷な問いを投げかける存在として機能しているのだ。