順風満帆に見えた大行列店が、なぜ2023年2月28日をもって突然営業を終了したのでしょうか。ネット上では「経営悪化ではないか」「立ち退きトラブルか」といった様々な憶測が飛び交いましたが、実際の閉店理由は極めて現実的、かつシェフのものづくりに対する真摯な決断によるものでした。
表向きの最大の理由は「店舗テナントの定期借家契約満了」です。ビルのオーナー側との契約期間が終了を迎えるタイミングとなり、同地での営業継続が物理的に困難になりました。
しかし、単に移転先を探して営業をそのまま継続しなかった背景には、より深い理由が存在していました。それが「過度な生産体制による現場への過重負荷と、船井シェフの体調面・パン作りへの原点回帰」です。
梅田本店では毎日押し寄せる大勢の客に応えるため、深夜から早朝にかけて膨大な量の仕込みと調理を限界までこなす日々が続いていました。圧倒的な需要に応え続けるあまり、職人としての手作業の限界を超え、クオリティを維持しながら現場を回す負担が極限に達していたのです。船井シェフは「一度立ち止まり、本当に自分が理想とするパン作りを丁寧に行える環境へと舵を切る」という英断を下し、大繁盛の最中に梅田本店の幕を下ろす決断をしました。