誰しもが一度は抱く疑問がある。「イニシャル『M』の男性とは一体誰なのか?」という問いだ。
この謎の答えは、フィクションではない。作詞を手がけたドラマーの富田京子が当時実際に交際し、激しく失恋した実在の男性である。彼との別れによって生じた耐えがたい喪失感のなかで、衝動的にペンを走らせたリアルな日記が原点だった。かつて富田自身が回想録やメディアで語った通り、失恋直後のボロボロの心理状態のなか、自分自身を救うためだけにノートへ殴り書きした感情の破片そのものが、この詞の骨格を成している。
恋人のイニシャルが「M」であったことは紛れもない事実だ。歌詞の最後で語られる「いつも一緒にいたかった」という無防備な叫びは、技巧を凝らしたプロの作詞家からは決して生まれない。失意の底にいた20代の富田京子が、元恋人へ向けて流した痛切な涙の記録だったのである。