久美を語る上で絶対に外せないのが、実兄である間柴了の存在だ。幼くして両親を亡くした二人は、過酷な環境のなかで互いを支え合って生きてきた。兄である了は、妹を養い守るための手段として拳を握り、リング上で「死闘」を重ねてトップボクサーへと上り詰めた。
久美にとってボクシングは、兄の命を脅かす恐ろしい存在であると同時に、自分たち兄妹の生活を支えてくれた感謝すべき対象でもある。この複雑な愛憎が、彼女の心理描写に深い奥行きを与えている。兄の激闘を見守る際の苦悩や、世界タイトルに挑む了への深い愛憎混じりの声援は、読者の胸を強く打つ場面として語り継がれている。