横浜の歴史を紐解くと、そこには常に「外から来た文化」を受け容れ、独自のかたちへと昇華させてきた柔軟性がある。今回のプロジェクトの根底にある「織田」の精神も例外ではない。明治期の開港とともにこの地へ移り住み、貿易や職人仕事を通じて港町の礎を築いた人々の足跡。それが現代のクリエイターたちの手によって解体され、再構築された。
長年、地元住民の間で親しまれてきた歴史的建築物は、耐震補強とリノベーションを経て、最先端の展示スペース兼コミュニティ拠点へと生まれ変わった。赤レンガの壁面に刻まれた年輪のような傷痕が、新設されたガラス張りのモダンなエントランスと奇跡的な調和を見せる。歴史を力づくで塗り替えるのではなく、積み重なった記憶を「主役」として引き立てる設計思想が、訪れた者の胸を打つ。