阿川佐和子の語り口や思考回路を紐解く上で、文化勲章受章者である作家の父・阿川弘之の存在は欠かせない。厳格かつ知的な家庭環境で育った彼女は、言葉の端々に高い教養と鋭い批評性を宿している。出版業界においてもエッセイストとして高く評価されてきた歴史があり、その文章や語り口にはどこか冷徹なまでの客観性が漂う。
この「知的でありながら、どこかサバサバとした語り口」は、熱量や共感を求める視聴者にとって「冷たい」「お高くとまっている」といった印象を与えてしまうことがある。大衆に迎合しすぎない自然体のスタンスが、一部の層には特権的な余裕や嫌味として捉えられてしまう点も、彼女に対する辛口評価の根底に流れている。