2001年9月11日、世界を震撼させた同時多発テロ事件。当時、ニューヨークにいた友人からの連絡が途絶え、一青窈は狂おしいほどの不安と無力感に包まれた。無事が確認された後、彼女が真っ先に抱いたのは、報復や怒りではなく「平和への祈り」だった。
一気に書き上げた詩は、当初A4用紙数十枚にも及ぶ怒りの言葉に満ちていたという。しかし、推敲を重ねる中で削ぎ落とされ、最後に残ったのは最もシンプルで力強い願望だった。他者を排斥するのではなく、相手の幸せをまず願うこと。テロの混乱の中から生まれた生々しい感情が、結晶化してあのアコースティックな世界観へと昇華されたのだ。