穏やかな日常は、一瞬にして地獄絵図へと変貌した。カムチャツカの川辺で川釣りを開始した継父のイゴール・モスカリョフは、草むらから突如姿を現した個体に真っ先に襲われた。彼には身を守る術もなく、背後から襲いかかった圧倒的な質量に対して無力だった。
その一部始終を目撃した19歳のオルガ・モスカリョワは、恐怖に身を竦ませながらも必死に逃走を試みた。しかし、鬱蒼とした背丈ほどの草むらが彼女の足を奪い、巨大な獣は容易く距離を詰めた。追い詰められた彼女が母のスマートフォンへ発信した3度の通話は、人間が死の直前に直面した最大級の絶望を記録することとなった。