スマホの画面で毎日何千枚もの画像が消費される時代にあって、重厚な装丁を持つ紙の写真集というメディアの価値が再評価されている。ページをめくる手触り、印刷のインクが放つ質感、そして部屋の書棚に置いておきたくなる存在感。彼女の作品は、そうした物理的な体験の価値を極限まで高めた。
デジタルでは再現しきれない微細な肌のトーンや影の深み。手元に置き、ふとした瞬間にページを開くという行為自体が、読者にとって特別なリチュアル(習慣)となっている。デジタルコンテンツのスピード感とは対極にある、じっくりと作品に向き合う時間は、現代において極めて贅沢な体験と言える。