子どもの成長に伴い、最大の分岐点となったのが「進路選択」でした。障害児教育の現場では特別支援学校への就学が提案されるケースも多い中、菊池桃子さんと娘が選んだのは、健常児と共に学ぶインクルーシブな通常学級での進学でした。
小学校から高校に至るまで、成蹊や立教女学院といった私立一貫校の選択肢が取り沙汰された時期もありましたが、根底にあった方針は「過剰な保護を排し、社会の縮図の中で周囲と助け合い、自らの意思を伝える力を養うこと」でした。学校側に対しては障害の特性を丁寧に説明しつつ、甘えを生じさせない「合理的配慮」の枠組みを対話によって構築していったと報じられています。
高校卒業後、長女は四年制大学へと進学。大学生活では講義の受講だけでなく、自らの力で通学し、友人関係を広げ、就職活動にも正面から挑みました。障害者雇用促進法の枠組みや一般枠の選択肢を含め、自らの適性と体調に見合った進路を主体的に選んだプロセスは、まさに菊池桃子さんが目指した「自立の完成形」でした。