汗の滲む肌の質感、視線が交差する一瞬の間の取り方、吐き出される台詞の生々しさ。おげれつたなかの作画と演出には、独特の体温が宿っている。ただ美麗な絵柄を提示するのではない。人物が内に秘めた嫉妬、劣等感、やり場のない苛立ちといった負の情動が、息づかいとともに紙面から立ち上ってくるのだ。
とりわけ際立つのは、読者の琴線に触れる心理描写の解像度の高さだろう。傷つくことを恐れながらも他者を求めずにはいられない不器用な魂の衝突は、読む者の胸の奥底にある古い傷口を容赦なく疼かせる。決して綺麗事では終わらせないリアリズムと、そこから立ち現れる救済のコントラストこそが、熱狂を生み出す絶対的な核となっている。