インターネット上やSNSでは、今なお『Santa Fe』に関して「事務所や母親に騙されて無理やり脱がされたのではないか」という都市伝説的な言説が散見されます。しかし、当時の一次資料や関係者の記録を綿密に突き合わせると、単純な被害者構造とはまったく異なる実態が浮かび上がります。
確かに最初のきっかけは母・光子さんの強力な意向でした。しかし、現場で篠山紀信氏とカメラ越しに対峙した宮沢りえさんは、撮影が進むにつれて自らポージングを試し、表現の深度を深めていったことが現場スタッフの証言で一致しています。「操り人形」として脱がされたのではなく、10代特有の鋭敏な感性で「自らの美のピークを永遠に残す」という芸術的企みに共犯者として加わったというのが実態です。
また、同写真集は「男性向けのセクシー本」として企画されたものでは決してありませんでした。篠山紀信氏が意図したのは、ニューメキシコの風土と18歳の少女が織りなす「光と影のネイキッド・アート」でした。陰影を活かした構図や引きのショットを多用し、生々しさを削ぎ落とした静謐なトーンを徹底したからこそ、後年の大女優への階段を壊すことなく、むしろ伝説のプロローグとして機能したのです。