『やさしいキスをして』は、2004年2月18日にドリカムの通算31作目のシングルとして世に送り出されました。当時、プライベートレーベル「DCT records」を設立し、UNIVERSAL MUSICへの配給移籍を経た転換期にあったバンドにとって、本作は新たな金字塔を打ち立てる極めて重要な作品でした。
最大の契機となったのは、松本清張の不朽の名作を現代版としてリメイクしたTBS系日曜劇場『砂の器』(主演:中居正広、共演:松雪泰子、渡辺謙)の主題歌起用です。重い過去と宿命を背負い、破滅へと向かいながら哀しい旋律を奏でる天才ピアニスト・和賀英良(中居正広)の孤独な魂に寄り添う楽曲として、制作陣からの熱烈なオファーを受けて制作がスタートしました。
中村正人による作曲は、シンプルでありながら洗練されたコード進行とストリングスを軸に構成され、過剰な装飾を削ぎ落とすことでメロディそのものの美しさを極限まで引き立てています。そこに吉田美和が吹き込んだ詞世界が合わさることで、テレビドラマの緊迫感あふれるクライマックスと完璧な親和性を生み出し、オリコンチャート上位を記録するロングヒットへと結実しました。