日本国内の信者数は公称約13万人であり、全人口の0.1%程度に過ぎません。それにもかかわらず、なぜ世間では「芸能界にモルモン教の信者が多いのではないか」という印象が持たれやすいのでしょうか。そこには3つの明確な社会的要因が存在します。
1. 外国人タレント黎明期の強烈なインパクト
最大の要因は、1980年代の日本のバラエティ番組において、前述のケント・ギルバート氏とケント・デリカット氏が社会現象レベルの人気を獲得したことです。流暢な日本語を話し、知性的で清潔感のある2人のキャラクターは、「宣教師として日本に来たモルモン教徒」という属性とともに広く認知されました。この初期のインパクトが、後世のパブリックイメージを決定づけました。
2. 無料英会話教室を通じたカルチャー接触
教会が全国各地の礼拝堂でボランティアとして開催している無料英会話教室は、日本社会における独自の接点となってきました。語学力や表現力を磨きたい芸能関係者、モデル、クリエイターが若い頃にこの教室を利用した経験から、「あのタレントも教会に出入りしていた」という目撃証言が生まれ、いつの間にか信者説へと飛躍するケースが散見されます。
3. 清廉なイメージと芸能界の不文律の親和性
芸能界という浮き沈みの激しい世界において、薬物や飲酒運転、不倫といったスキャンダルは致命傷となります。禁酒・禁煙・貞潔を重んじるモルモン教の規律は、マネジメント側から見れば「リスク管理が行き届いたタレント」として信頼を得やすいという側面がありました。特に昭和から平成初期にかけてのCM起用において、清潔感の裏付けとして機能した歴史があります。