漢字「心」は、常用漢字表に収められたあらゆる文字の中でも、視覚的なシンプルさと構造の難しさが最も乖離した文字の一つだ。画数はわずか4画。しかし、その順番を正しく把握している人は決して多くない。
王道とされる楷書の正しい筆順は以下の通りだ。
1画目は、左側の斜めの点。しっかり打ち込み、左下へ向けて払うように置く。
2画目は、左上から滑らかに入り、中央深く沈んでから右斜め上へと力強く跳ね上げる「臥鉤(がこう・三日月状の湾曲部)」。
3画目は、臥鉤の内側、中心よりやや高めの位置に打つ真ん中の点。
4画目が、右外側で全体をどっしり受け止める最後の点となる。
最も多い誤りは、2画目の大きな湾曲を書いた直後に右端の点を打ち、最後に真ん中の点を打ってしまうパターンだ。あるいは、真ん中の点を最初に打ってしまうケースも見られる。右の点を打つ前に必ず「中の点」を経由する——このリズムを指先に染み込ませることが、形を崩さずに仕上げる最大の分岐点だ。