明治初期、日本の独立を保ち欧米列強に比肩するためには、全国を結ぶ陸上交通網の確立が急務だった。この巨大な鉄道事業を強力に推進したのが、大蔵大輔として財政を仕切っていた大隈重信だ。軍部からの「陸軍の敷地に鉄道を通すな」という強硬な反対を跳ね返し、海の上に線を引くという前代未聞の海底・海上ルートを着想した。
一方、民間資本の動員や事業基盤の確立において重要な役割を果たしたのが渋沢栄一である。新国家のインフラ構築には官民の連携が不可欠だと見抜き、資金調達や経営体制の整備に奔走した。海に石を投じ、堤を築く。二人が描いた壮大なビジョンは、職人たちの手作業によって形となり、日本が近代国家へと駆け上がる滑走路となった。