宮川一朗太の原点を語る上で外せないのが、1983年に公開された森田芳光監督の映画『家族ゲーム』です。当時17歳だった宮川は、故・松田優作さん演じる風変わりな家庭教師に翻弄される落ちこぼれの受験生・沼田茂之役を熱演。瑞々しくもどこか冷めた若者の心情をリアルに表現し、第7回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。当時の若い頃の画像やフィルムを見ても、端正な顔立ちと独特のナイーブな透明感が際立っています。
若手実力派として脚光を浴びた宮川は、声優としても類まれな才能を発揮します。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのテレビ放送版および追加収録において、主人公マーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)の日本語吹き替えを担当。軽快なテンポと親しみやすいハイトーンボイスで吹き替えファンから熱狂的な支持を集め、「マイケル・J・フォックスの公認声優」としての地位を不動のものにしました。
そして2013年、宮川の役者人生に再び大きな転機が訪れます。社会現象を巻き起こしたTBS系日曜劇場『半沢直樹』への出演です。宮川が演じたのは、主人公・半沢直樹を執拗に追い詰める東京中央銀行大阪西支店の副支店長・江島浩振役でした。上司の浅野支店長(石丸幹二)に媚びへつらい、部下には傲慢に当たる陰湿なヒールを見事に体現。クライマックスで半沢に完敗し、苦悶の表情を浮かべるシーンは視聴者に鮮烈な記憶を残し、「江島副支店長」の名はSNSでトレンド入りするほどの大反響を呼びました。