多くの視聴者が関心を寄せるのが、NHKの看板キャスターであった大越氏がなぜ退職に至ったのかという点です。大越氏は2010年から5年間にわたり『ニュースウオッチ9』のメインキャスターを担当し、飾らない言葉と温かみのある語り口で絶大な人気を博しました。しかし、2015年3月に突如として同番組を降板した際には、政権への批判的なコメントを巡る政治的圧力や上層部との軋轢が一部週刊誌などで取り沙汰されました。
真相を紐解くと、降板後はNHKスペシャルなどの大型企画や論説委員として精力的な取材活動を継続しており、単純な左遷や追放劇ではありませんでした。決定打となったのは2021年6月末の定年退職というキャリアの節目です。
NHKに残留してシニア契約スタッフとして管理職や解説委員の道を歩む選択肢もあった中、大越氏は「生涯一記者として、より自由な立場でニュースの現場に立ち続けたい」という強い情熱から退職を選択しました。テレビ朝日から提示された『報道ステーション』メインキャスターという大役のオファーは、現場での発信にこだわり続ける彼にとってまさに最高の挑戦の舞台でした。