悪質な販売業者は、最初から不動産のプロや金融リテラシーの高い層を相手にしません。彼らが狙いを定めるターゲットには顕著な偏りがあります。長年の取材と被害相談データから浮き彫りになった悪質業者の営業手口とカモの特徴は以下の通りです。
標的になりやすいのは、年収500万〜900万円程度の上場企業会社員、公務員、教員、看護師や医師などの医療従事者です。彼らには共通して「銀行からの融資枠(与信)が極めて大きい」「真面目で社会規範を重んじる」「不労所得や老後資金への漠然とした不安を抱えている」という特徴があります。
営業の手口も年々巧妙化しています。かつての迷惑電話だけでなく、現在では以下のような接点から忍び寄ってきます。
- マッチングアプリや街コン:恋愛感情や親近感を抱かせた後、「将来のために勉強している投資」としてセミナーや担当者を紹介する「デート商法」の亜種。
- 無料のマネーセミナー・FP相談:「新NISAとiDeCoの活用法」と称して参加者を集め、個別のライフプラン相談で「年金不足を補う唯一の現物資産」としてワンルームを滑り込ませる手法。
- 名簿を悪用した職場直通電話:過去の卒業名簿や同窓会リストを買い取り、管理職や中堅社員にピンポイントで接触を図る手口。
心理学・行動経済学の観点から見ると、悪質業者は巧みに「損失回避バイアス」と「サンクコスト(埋没費用)効果」を操ります。「今のままではインフレで預金価値が半分になる」「同世代の優秀な方は皆始めていますよ」と孤立と焦りを煽り、長時間にわたる密室での面談やファミレスでの拘束によって正常な判断力を奪っていきます。